■ 耐震診断の流れ
聞き取り・説明
担当者がご自宅まで聞き取り・ご説明をさせていただくためにご訪問します。
まずは耐震診断対象の建物かどうかをチェックします。建物の設計図書(竣工時の図面、特に構造図)があればお借りし、無い場合は建物を実測して耐震診断に必要な図面を当社で作成いたします。(竣工時の図面が無い場合は、別途費用が必要になります。)
また、今までの増改築や災害にあわれた履歴、ご自宅についての気になる点などををお聞かせください。
これらによって今のご自宅の状態を把握させていただきます。このときに耐震診断にかかる費用をお伝えさせていただきます。その他気になることがありましたらなんなりとご質問ください。
耐震診断の現地調査は、壁の仕上げ材をはがして隠れた部材を確認するようなことはせず、図面照合や目視調査を行い、その後耐震計算を行う範囲のものです。
屋内調査
耐震技術認定者がご自宅にお邪魔して調査を行います。
お客様にも認定者と一緒に回って確認していただきます。
◆チェック項目
○柱・壁等の適正・ひび割れ、施工方法の適正
○押入れの中や、建具の開閉がうまくいくかなどの確認
○床のキシミ・ゆがみなどの有無
○器具を使って家全体の傾きの確認 等
屋外調査
ご自宅の外部も調査いたします。
これもお客様に認定者と一緒にまわって確認していただきます。
◆チェック項目
○外壁・基礎のひび割れ等の有無
○風雨にさらされやすい部分の腐食の有無
(軒の出・屋根の波うちなど)
○土に埋もれている基礎の形状の確認 等
床下調査
床下ももぐって調査いたします。
◆チェック項目
○基礎コンクリートの強度の確認
○基礎の鉄筋の有無
○地盤沈下の有無
○部材の腐食や害虫(シロアリ等)の確認 等
天井裏調査
天井裏に入って調査をします。
◆チェック項目
○筋交いの有無や種類とサイズ、柱と梁の接合方法の確認
(特に筋交いは壁の強度を決める重要な要素です)
○既存の補強金物の適正
○部材の腐食等の確認 等
耐震診断調査の結果をもとに構造計算等を行い、耐震診断結果報告書を作成します。
後日あらためてご訪問させていただき、その結果・内容についてのご説明をさせていただきます。
また、結果に応じての補強についてご提案、アドバイスをさせていただきます。
■ 代表的な耐震補強
壁の補強
壁の強度が足りない場合には、既存の壁に補強を行います。
まず、内部の構造体が見えるまで壁をはがして筋交いや金物を取り付けます。また、必要に応じて構造用合板や耐震ボードをはって仕上げます。
比較的小さい工事ですみます。
柱脚部補強
筋交いが入っている強い壁は地震の揺れによって家の土台から柱の引き抜けてしまうことがあります。
こうなってしまうとせっかくの耐力壁の意味がなくなってしまうので、ほぞが抜けないようにホールダウン金物というものを使って基礎・土台・柱を一気にとめてボルトで固定します。
基礎補修
基礎にひび割れがある場合には、エポキシ樹脂などの補修材を注入して、十分な耐力をもたせてから、表面を仕上げます。また、基礎に鉄筋が入ってなかったり足りないことが判明した場合には、既存の基礎の外側に新しい鉄筋コンクリートの基礎を作り、一体化して強度をもたせます。
屋根軽量化
昔ながらの瓦などは重く、屋根が重たいと地震での揺れも大きくなります。屋根をカラーベストなどにかえて屋根を軽くします。
金物補修
小屋組・壁・土台などいろいろな所にいろいろな金物が使われています。しかし、ただつければ強くなるものではなく、適切に施工しないといけません。
■ 家の構造
建物には常に荷重がかかっています。
建物には自重の重さである「固定荷重」、人物や家具などの「積載荷重」、雪が積もった時の「積雪荷重」など、常に垂直方向への鉛直荷重がかかっています。
特に地震時や台風時には、鉛直荷重に加え風.揺れなどの水平荷重が建物に加わるので、建物の剛性を高め、荷重が一点に集中しないように建物を一体化させて強度を高めることを耐震といいます。
鉛直力は、小屋束や柱・梁などで荷重を基礎に伝え、横からの力は耐力壁で抵抗します。
耐震性を確保するポイントは耐力壁の量とバランスの良い配置です。
■ 地震について
【地震発生のメカニズム】
地震の発生の原因には色々な説がありますが、その一つにプレートテクトニクス理論というものがあります。
地球はその中心から、内核、外核、マントル、地殻(プレート)という層に分かれて出来ています。
地震と関係するのはマントルと地殻です。地球の表面はマントルが冷やされて固まったプレートの集まりで出来ていて、1年間に数センチという ゆっくりとした速度で動いています。その先端は他のプレートとぶつかり、その下に潜り込んでいます。
その時に他のプレートを引きずり込んでいく為、引きずり込まれた方は元に戻ろうとして反発し、 跳ね返った時に地震が起きると言われています。これを海溝型地震と言い、規模の大きな地震を引き起こします。
また、日本全国に活断層という 現在も活動している断層があり、それが動いた時に起こると言われているのが直下型地震です。また、直下で発生する為、前震がほとんど無く、いきなり大きな揺れが来ることになります。阪神・淡路大震災はこの型の地震でした。
日本列島は、北アメリカプレート フィリピン海プレート ユーラシアプレートという3つのプレートがぶつかり合う場所が近くにあるため、地震の多い国となっています。
【マグニチュードと震度】
マグニチュードは地震のエネルギーの大きさを表す値で、ひとつの地震に対して一つしか決まりません。
マグニチュードが1大きくなると、震源からの距離が同じでも最大振幅は10倍に、その地震のエネルギーは約30倍にもなります。震度はある場所の揺れの大きさを表す単位で同じ地震を体験しても、地盤や建物の構造・人々の心理状態などにより揺れの大きさは異なります。
この単位は各国で異なり、日本の場合は、気象庁で震度階を0~7にわけて使われています。
■ 免震との違い
【耐震構造】
大地震にも耐えられるように、建物の構造(柱や梁)自体が強靭に造られているものです。
具体的な構造形式としては耐震壁などをバランス良く配置し、平面・立面形状に特定の弱い層を持たない構造のこと。
現在の新築では、基本的な耐震構造は備えており、大地震でも建物自体が倒壊してしまう可能性は非常に低くなっていますが、 地震エネルギーがそのまま家屋に伝わるので、免震に比べ地震時に壁等が破損したり、家具等が倒れてくる恐れがあります。
【免震構造】
建物と地盤との間に積層ゴムなどの特殊な装置を用いる免震層を造ることで、それにより地震のエネルギーを吸収し、激しい揺れを緩やかな揺れに変換するものです。
20階以上の高層建築などは、耐震構造によって建物が倒壊しなくても、上層階では揺れが大きくなるため、室内の家具の転倒などで被害が生じることがあります。そのためにこのような構造が開発され取り入れられています。
しかしまだ、コストやメンテナンス等の部分で課題があるといわれています。